読了洋書レビューとまとめ

レビューが少しでも英語学習者の助けになればと思い、移すことにしました。


狙い・コンセプト:
自分のレベルに合ったやさしい英語を大量インプットする。これにあたり、子ども向けの本が最適と判断。幼いころあまり読書しなかったので、それを逆手にとって、世界の名作を片っ端から英語で読んでやろうと思い立つ。基本的に辞書は使わず、どうしても気になる単語のみ英英辞書とGoogleイメージ検索を使って調べ、日本語の介入を極力避ける。


私的難易度まとめ(主観的です、あしからず):
ピーターパン>秘密の花園>(この辺りが英語力の壁)カフカ>メアリーポピンズ>プー横丁>大草原、ハイジ>プーさん>シャーロット>ドリトル先生>イソップ>パディントン>Sheila>スプーンおばさん>イギリス昔話>チャーリー>オズ>グリム童話>手袋


手袋を買いに Buying Some Gloves (ラダーシリーズ Level 1)

手袋を買いに Buying Some Gloves (ラダーシリーズ Level 1)

手袋を買いに/新美南吉。(読む際にストーリーを元々知っていたか:既知)
英語を少しでもかじっていれば、立ち読みで楽々読了できるレベルと思われる。
新美南吉の、きつね親子のかわいいお話。日本文学の英語訳。
チョコレート工場の秘密 - Charlie and the ChocolateFactory【講談社英語文庫】

チョコレート工場の秘密 - Charlie and the ChocolateFactory【講談社英語文庫】

チャーリーとチョコレート工場ロアルド・ダール。(ストーリー:未知)
映画を見る前に原作を読んでやる、と意気込んでたがなかなか手強かった。慣れていないせいもあったと思う。ブリティッシュはサクサク頭に入ってこないと思うのは俺だけだろうか。アマゾンのレビューで皆さん「簡単、読み易い」って言ってる人ばっかりでビックリ。とてもそんな強気なセリフは吐けない。
グリム童話集―Grimm’s fairy tales 【講談社英語文庫】

グリム童話集―Grimm’s fairy tales 【講談社英語文庫】

グリム童話/グリム兄弟。(ストーリー:半分既知)
10話収録。白雪姫、狼と七匹の小ヤギ、ブレーメンの音楽隊、カエルの王子、藁と炭といんげん豆、ヘンゼルとグレーテル、小人の靴屋、the Twelve Dancing Princesses、ねずみと小鳥とソーセージ、the Clever Little Tailor。
正にビギナー向け。絵本から少し上を探すなら底辺としてこの辺ははずせないぞ、と。まあ絵本の寄せ集めみたいなもんなんだけど・・・
大草原の小さな家―Little house on the prairie 【講談社英語文庫】

大草原の小さな家―Little house on the prairie 【講談社英語文庫】

大草原の小さな家/ローラ・インガルス・ワイルダー。(ストーリー:未知)
舞台は西武開拓時代のアメリカ中西部。大自然と共に生きる人々の描写が印象的です。英語力がついてからのリヴェンジを画策中。

カヴァーにTOEIC対象レベル400〜と書かれていた。ウソだ。TOEIC400なら挫折するぞ、これ。
各話がちょうど良い長さで別れていて、ある出来事ごとに進んでいくので凄く区切りが付け易い。精神的には助かります。
ただし、最初から、馴染みのない語彙のオンパレード。文明社会とは程遠い場面設定だから、無理もない。移動は幌馬車、インディアン、お父さんは食糧調達の狩り、家は手製のログハウス・・・そういう時代。話の中で新しい農具や日用品が出てくる度に困った。とにかく慣れるまでが大変。1センテンスは短い(おそらく児童書なので作者の意図と思われる)のだが、風景や人物、動作の描写が細かい。頻出する英単語のみ英英辞典で調べて進むという感じで何とか読了までこぎ着けた。

The Wonderful Wizard of Oz (Signet Classics)

The Wonderful Wizard of Oz (Signet Classics)

オズの魔法使い/フランク・ボーム。(ストーリー:未知)
約200ページと、ボリュームがある割には語彙が優しい方で、ストーリーを追いやすいと思う。かなりの達成感があるし、ペースも良かった。洋書の読み始めの人にはかなり向いていると思う。難易度的なステップとしては、大草原の小さな家より先に読んでおきたかった。おすすめ。
シャーロットのおくりもの - Charlotte's Web【講談社英語文庫】

シャーロットのおくりもの - Charlotte's Web【講談社英語文庫】

シャーロットのおくりもの/エルウィン・ブルックス・ホワイト。(ストーリー:未知)
泣ける。というかジワッと泣いた。いい話。農場が舞台なので、大草原の小さな家を読んだ後だと繋がる語彙が多く、助かる。クモのシャーロットが子豚のウィルバーに深い話をする時の語彙が少し難解。「大草原」の作者の名前がついたローラ・インガルス・ワイルダー賞、というのを受賞しているいわゆる名作らしい。映画化もされていると聞いて、そっちも気になってる。イソップ物語。(ストーリー:ほぼ未知)
短いものでは1Pから、長くても5,6Pで終わるような逸話が40話収められている。その点では休憩が入れやすく、読みやすいけど、やや説教臭い。社会的な教訓や哲学、人生訓を織り交ぜてあり、ジョークのエッセンスが利いている。童話とは別物と考えた方がいいと思います。
絵がかわいくなくて、個人的には好きじゃありませんでした。
クマのプーさん Winnie-the-Pooh (ラダーシリーズ Level 4)

クマのプーさん Winnie-the-Pooh (ラダーシリーズ Level 4)

クマのプーさんアラン・アレクサンダー・ミルン。(ストーリー:ほぼ未知)
愛らしいキャラクターがたくさん登場し、思わず吹き出すような場面も。ディズニーアニメのプーさんは一度も見たことがなかったが、この本でプーがなぜ愛されるのかわかる気がした。
語彙は難しくない。だが、イディオムとネイティヴ独特の言い回し、倒置の嵐。日本語英語が染み付いてしまっている頭には、キツく、しばしば言語処理が進まず思考停止した。ラダー版だと侮っていたら大苦戦。ブリティッシュで、古典だからというのも読みづらい理由なのかもしれない。良い洗礼でした。
A Bear Called Paddington

A Bear Called Paddington

クマのパディントンマイケル・ボンド。(ストーリー:未知)
ロンドンのパディントン駅に、この物語のくまの銅像が建つくらい有名なお話らしい。
その気はないのに、毎回騒動を引き起こしてしまうパディントンがかわいい。ついつい読みながら顔がにやける。
対象年齢小学校3年生位ということだが、ネイティヴの3年生だから、語彙はそれなり。チャーリーとプーでブリティッシュに慣れていたお陰で何とかかんとかスムーズに読了。スプーンおばさんアルフ・プリョイセン。(ストーリー:未知)
ノルウェーのお話の英語翻訳版のようだ。スプーンおばさん5話+他短編という組み合わせ。英題はなぜかミセス・ペッパーポット(胡椒入れ)となってるみたい。原作では日本と同じくティースプーンらしい。なぜ英語だけ胡椒入れ。語呂やイメージの問題かな。あと、ロリ好きに熱狂的な支持を受ける(?)ルウリィはハンナという名前です。
The Secret Garden: The 100th Anniversary Edition with Tasha Tudor Art and Bonus Materials

The Secret Garden: The 100th Anniversary Edition with Tasha Tudor Art and Bonus Materials

秘密の花園/フランシス・ホジソン・バーネット。(ストーリー:未知)
1回目
本屋で1ページ目を軽くのぞいて、「あ、読めるな」と思ってたら、意味があやふやな語彙が頻繁に出るようになり、進めど進めどスピードが出ない。ストレスを感じるようになったのでストップしました。現在積ん読(つんどく)状態になってます。何冊か読んで再チャレンジすると致します。
あとヨークシャー訛りのマーサさん・・英語しゃべってくれ・・・
「I'll help thee on with thy clothes if tha'll get out o' bed.」って何だよ・・・
ピーター・パン―Peter Pan 【講談社英語文庫】

ピーター・パン―Peter Pan 【講談社英語文庫】

ピーター・パン/ジェームス・マシュー・バリー。(ストーリー:ほぼ未知)
1回目
またしてもやられました。秘密の花園で痛い思いをし、慎重に子ども向け(しかもメジャーのど真ん中)を選んだつもりでいた。だがしかし。・・・難しい。大意が拾えない、汲み取れない。推測もできないような語彙が結構登場する。これ何歳向けだ?ピーターに会ってもいねえや。
積ん読状態へ直行。必ずリヴェンジしてやるからな。
Heidi (Puffin Classics)

Heidi (Puffin Classics)

アルプスの少女ハイジヨハンナ・シュピリ。(ストーリー:ほぼ未知)
原書はドイツ語。これはその英訳版。約300ページ。ボリュームはあるが、難解という程ではない。大自然が舞台なので、やはり農場や自然の語彙が頻繁に登場する。登場人物の名前をどう発音してよいのかわからなかった(アニメの発音はドイツ語ベース)。英語でハイジ(Heidi)の発音は[haIdI]に近く、ペーター(Peter)はもちろん[pitɚ]だろうし、独語→英語翻訳の時点で、読者がなじみ易いようスペルをいじってある可能性もある。正確なところはよくわからない。あと、クラシックの英訳に多いように、英語はブリティッシュです。
ストーリーはアニメでお馴染みだと思います。自然を愛する心優しい少女ハイジの物語。アニメをあまり覚えてない人や、ほとんど見たことがないという方は楽しめると思います。自分もクララ(Clara)が最後に×××ようになる、という結末しか知らない状態でした。
以前トリビアの泉という番組で、「おじいさん(Uncle Alp)は昔、人を殺したという疑惑がある」というトリビアをやっていたことがありますが、もちろんそいういった描写は一切なし。やはり児童文学は児童文学なんですね。「洋書を読んでも原書を読んだことには必ずしもならない」という当たり前のことに改めて気付かされました。

読み終わった瞬間にこんなタイムリーなニュースを見つけてしまって何だかヘコんだ。
「ハイジ」原作は盗作? ドイツの研究者指摘 日経4/13
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C81818A9991E2E2E6E28DE3E1E2E6E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2

イギリス昔ばなし―Once upon a time in England 【講談社英語文庫】

イギリス昔ばなし―Once upon a time in England 【講談社英語文庫】

イギリス昔ばなし。(ストーリー:半分既知)
ジャックと豆の木(豆のつる)、Nothing Is Stronger Than Me、3匹の子ブタ、The Three Wishes, 親指トム、The Hunter,3匹のクマ、The Wise Men of Gothamより3話、Dick Wittington and His Cat、ものぐさジャック、の全12話収録。
基本に返って童話を読む。ただ、意外に知らない語彙が多く登場した気がする。同じ講談社英語文庫(よくお世話になります)のグリム童話の方が語彙のレベルが優しかったように思う。イギリス昔ばなしの方が、若干語り口が固めでユーモアがある。100ページ位。3匹の子ブタや親指トムはイギリスのお話だったんですね。体系的に読んでみると面白いですね。
STORY/DR.DOLITTLE

STORY/DR.DOLITTLE

ドリトル先生アフリカゆき/ヒュー・ロフティング。(ストーリー:未知)
テンポが良くて楽しいお話です。動物が本当にたくさん出てきます。全部の動物の語彙を調べてたらキリがないくらいです。Googleイメージ検索を開きっぱなしにして、読みました。
文庫を買わず、ついにプロジェクト・グーテンベルクに手を出してしまいました。青空文庫の海外版とでもいうようなもので、著作権の切れた図書が大量にデータになって浮かべてあります。ディスプレイで本を読んでも大丈夫な方は是非チャレンジしてください。
The House at Pooh Corner (Winnie-the-Pooh)

The House at Pooh Corner (Winnie-the-Pooh)

プー横丁にたった家アラン・アレクサンダー・ミルン(ストーリー:未知)
クマのプーさんの続編で、実質的な物語の最終巻(同シリーズはあと2冊、詩集がある)。クリストファー・ロビンとプーの別れの場面が描かれる最終回がすごく印象に残っている。
英語の言葉遊びと口語表現に頭がこんがらかりながら、なんとか読了。これらのネイティヴの言葉遊びを理解できるようになるには英語のシャワーをもっともっとたくさん浴びる必要があるなと思った。韻や、笑いを誘う意図的なスペルミス、それが文中で起こった時に“それを察して笑える”実力は自分にはまだまだ全然足りないなぁと実感した作品でした。プーシリーズは、実力が付いてから再度読み返したいですね。
Otherwise Known as Sheila the Great

Otherwise Known as Sheila the Great

Otherwise Known as Shela the Great/ジュディ・ブルーム(ストーリー:未知)118P
昔、名もない古本屋で買ってほったらかしになってたものを引っ張り出して読みました。小学生の女の子向けの楽しい本でした。犬に雷、暗闇にお化け、泳ぐことが大の苦手で、そのくせちょっぴり見栄っ張りで目立ちたがりの女の子シーラ・タブマン(10)は、家族全員で夏休みの間、ニューヨークを離れ、郊外の保養地タリータウンに滞在することになる。ディズニーランドに行きたかったシーラは両親の説得に渋々従うが、滞在する家が犬付きだとわかり、スタートから散々。やがて彼女は、街のヨーヨージュニアチャンピオン、“マウス”ことマール・エリスと出会い友達になるが、彼女からタリータウンがかの有名な「スリーピー・ホロウ」の伝説が生まれた街だと聞かされる・・・。弱虫なくせに意地っ張りのシーラが周囲の環境と向き合う描写が楽しい。登場するキャラクターの子どもたちが非常にリアルに感じられ、息づかいを感じるようでした。軽快なテンポと愉快なエピソードが読者を飽きさせない。楽しんで一気に読むことができました。
平易な文章で語彙も易しいほうだと言えるので、洋書に慣れていればあっという間に読み終われるでしょう。前置詞の表現が豊かなので、勉強にもなると思います。また、スラングというほどではないですが、会話が多いので定番表現も頻出します。対象年齢は8歳〜12歳。
メアリー・ポピンズ―Mary Poppins 【講談社英語文庫】

メアリー・ポピンズ―Mary Poppins 【講談社英語文庫】

風にのってきたメアリー・ポピンズ/パメラ・トラヴァース(ストーリー:未知)205P
魔法を使えるベビーシッター、メアリー・ポピンズのシリーズの第一作。
パメラ・トラヴァースはオーストラリア人で、この本の発表は1934年。ブリティッシュの言い回しに時代性も加わり、語彙や言い回しは少し古いと思われるが、ストーリーは追えた。語彙のレベルは易しくはない。見開きの2ページには必ず見聞きしたことのない単語が3〜4個登場する。少しレベルが高い本を選んでしまったようだ。ネイティブの小学校高学年〜中学生向けといったところか。ストーリーは一話ずつ収められているので段階的に読み進められるが、レベルが高いこともあり先に進むのに気力が必要だったり。
メアリーのしつけ(子どもを子ども扱いしない)にかかればはモンスターチルドレンも真っ青でしょうね。子供を叱れない親が多い現代では特にベビーシッターとして大活躍するでしょう(笑)ファッショナブルで子供に容赦のないメアリーに乾杯。
Kafka On The Shore (Vintage Magic)

Kafka On The Shore (Vintage Magic)

海辺のカフカ村上春樹・Philip Gabriel訳(ストーリー:未知615P)
実は村上春樹を読むのは初めてだったりする。日本語からの英訳本を読む。なぜそんな面倒臭いことをしたのかというと、日本人のことばの感性を英語にするとどういう風な表現になるのかを知りたかったから。言語のスペシャリストである翻訳者の腕の見せ所。大人の読む本を読めるかなと不安だったのですが、なぜかストーリーが頭に入りやすかったですね。予想以上にすらすらと進みます。上手く言えませんけど、日本人である作者が表現する世界と、自分の持つバックグラウンドとの共有範囲が広いからなんでしょう。時には原文(日本語)で何と表現してあるかをピタリと当てられることがありました。
日本語版のカフカ(上・下)を脇に揃え、表現を味わいながら読んだので時間がかかりました。ストーリーが謎めいていて、最後のページですべてのピースがつながるという類の展開ではありませんでした。もしかすると、これが村上春樹の手法でありワールドなのかもしれないけれど、英語の教材として使うにはどうかなと思いました(もちろん人によって好き好きはあるでしょうけどね)。あ、あとセックスの描写も結構あって、最初は“get a hard-on”が何を意味するかわからず、辞書で引いてわかった時には思わず苦笑しました。そっち系の語彙や描写も豊富なので楽しいですよ(笑)