「サッカーとイタリア人」 小川光生 ほか

サッカーとイタリア人 (光文社新書)

サッカーとイタリア人 (光文社新書)

カルチョとカンパニリズモ(campanilismo)の関係を解き明かす。
カンパニリズモとは、イタリア語で郷土愛や帰属意識を意味する言葉。

生まれ育った故郷・郷土、そして自分の街のチームへの惜しみない愛情を注ぐイタリア人。
しかし、それと同時に根強いビッグ3(ユヴェントスミランインテル)信仰。
時に、隣人同士で血を流すこともあるデルビー(ダービーマッチ)。
・・・かと思いきや、近親憎悪を一気に捨て去り国民一致団結してイタリア代表を応援・・。

本書は、そんな“少し奇妙な”イタリア人の内面を、そしてカルチョ文化を、実に様々なエピソードを介して解き明かし、伝えてくれる。
都市のクラブチームごとの歴史や名エピソード、ティフォージ(ファン)の間で語り草となっているシーズン、因縁渦巻くライバル関係の数々・・・有名な話から現地でしか体験できないような、文字通りファンの息遣いを感じさせるようなエピソードがたくさん詰まっている。中でも、ヘラス・ヴェローナキエーヴォ・ヴェローナの逸話を収めた、4章「ロバが飛んだ日」は秀逸。


イタリアが好きな人も、サッカー好きも、セリエが好きな人も、ナカータ好きも、ダーリンはイタリア人な人も楽しめる、カルチョ(つまりはイタリア文化)本。

季刊サッカー批評 issue 42 Love or money? (双葉社スーパームック)

季刊サッカー批評 issue 42 Love or money? (双葉社スーパームック)

季刊行。選手・チーム一辺倒じゃなく、サッカー界を取り巻く様々な世界・切り口を見せてくれます。今回はテーマに惹かれ、購入。「サッカーを支えるのは愛?それとも金?」ということで、文字通りサッカーを様々な形で支える人たちをピックアップし、それぞれのサッカーへの関わりから、サッカー愛と、そしてカネとの微妙な関係性を探ってゆく。切り口は様々で、ディートマー・ホップ(ドイツブンデスリーガホッフェンハイムパトロン)の分析や、元日本代表監督イヴィチャ・オシムインタビュー、イタリア南部の過度なチームへの愛情の特集、若くしてガンを宣告された現役選手のサッカー人生、3種のサポーターに見られるそれぞれの愛の形(チームが解散した旧福島FCを応援し続け今はFCプリメーロのサポーター、日テレベレーザサポーター、都リーグで一人チームを応援する社会人サポーター)、などなど草の根的なアプローチも見られます。
ですが、目を引く見出しの割りに記事一つ一つがあまりに小さく、十分な考察がもう少し欲しかったところ。まだ続くのかと期待して次のページをめくると、全く別の特集が始まる、ということが多く非常に残念。問題提起としては良いんだけれども、事項の羅列が多いのではないかな、という印象でした。
個人的には木村元彦元朝日新聞轡田隆史の対談「日本のスポーツジャーナリズム〜メディアの使命とは何か〜」が凄く興味深かったです。
「ラ・ベットラ」落合務のパスタの基本

「ラ・ベットラ」落合務のパスタの基本

この本、凄くイイです。語り口優しい落合務先生の“シェフならぬ主婦っぷり”がいい味を出していて、パスタを日常から楽しめるような簡単便利なメニュー(しかもおいしい!!)や小技が楽しい。もちろん本格的なレシピも掲載。
“ほんの少しの手間ひま”と“料理を楽しむ心”が料理をおいしく楽しくさせる秘訣なのだなと再確認・・。この本のお陰でパスタを俄然おいしく作れるようになってきました。